雇用保険業務取扱要領(行政手引)

20001-23500 適用関係

20154(4) 認可の手続

  • イ 認可申請
     暫定任意適用事業の事業主は、任意加入の申請をしようとするときは、任意加入申請書(徴収法施行規則様式第1号)を、その事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならない(徴収法施行規則附則第2条第1項)。
     ただし、事務組合に任意加入の申請事務を委託する事業主の事業にあっては、任意加入申請書の提出は、事務組合の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長又は事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長のいずれか一方に対して行うこととされており(徴収法施行規則第65条及び失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う労働省令の整備等に関する省令第13条第1項)、この場合、事業場あるいは事務組合の事務所の地理的状況のほか、被保険者に関する届出事務等の便宜をも考慮して適切な指導を行う。
  • ロ 労働者の同意
     暫定任意適用事業の事業主は、その事業に使用される労働者の2分の1以上の同意を得なければ任意加入の申請を行うことができず、また、その事業に使用される労働者の2分の1以上の者が希望するときは、任意加入の申請を行わなければならない(徴収法附則第2条第2項及び第3項)。
     ここでいう「その事業に使用される労働者の2分の1」とは、その事業において使用される労働者総数の2分の1以上の者ではなく、その事業が任意加入の認可を受けて適用事業となっても被保険者とならない労働者を除いた労働者の2分の1以上の者をいうものである。この場合、被保険者となるべき者であるかどうかの判断は、任意加入申請書が提出された際に行う。
     任意加入の認可を受けた事業の事業主は、徴収法施行規則第4条第2項の保険関係成立届の提出の必要はないが、雇用保険適用事業所設置届(以下「事業所設置届」という。)及びその事業に雇用される労働者について雇用保険被保険者資格取得届(則様式第2号。以下「資格取得届」という。)を事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(以下「安定所」という。)の長に提出しなければならない(則第6条)(2070120900及び2225122300参照)。
  • ハ 申請者等から徴する承諾書等
    • (イ) 認可を行う場合には、あらかじめ事業主(事業主団体を単位として認可の可否の判断を行ったときは、事業主と当該事業主団体の双方)から、次の書面(ただし、cの書面については事業主団体のみ。)を提出させる。
      • a 認可基準に抵触しないよう万全の努力をする旨の承諾書
      • b 認可基準に抵触するに至ったときは、そのとき以降認可を撤回されること、失業等給付に関して偽りの届出、報告、証明を行い不正に失業等給付を受けさせようとしたときその他不正の行為があったときも同様であること及び認可の申請に際して事実を秘す等の不正の行為があった場合は、認可をさかのぼって取り消されることについて異議なき旨の同意書
      • c 認可に際し、事業主団体を単位として認可基準を判断し、任意加入を認められたものについては、当該事業主団体から労働保険事務を当該事業主に代わって責任をもって処理する旨の承諾書
      • d 極力離職者の発生を抑制し、やむを得ず離職者が発生した場合にも、その者に対して安定所の紹介する職業紹介に積極的に応ずるよう十分指導する旨の誓約書
    • (ロ) 任意加入申請書の受理等
      • a 任意加入申請書を受理する場合には、申請書のほか、認可を行う場合に必要な書類を一括して提出するよう指導すること。
      • b 事業主団体を単位として認可基準の判断を受けるものについては、当該事業主団体分を一括して申請するよう指導すること。
  • ニ 認可に当たっての留意事項
    • (イ) 認可項目の調査
       認可に当たっては、提出書類の審査のほか、適宜実地調査を行い、認可基準の各項目について慎重に判断する。この場合、特に次に留意する。
      • a 雇用関係の存否を判断するときは、雇用関係の当事者間の契約等をまず把握する。
      • b 賃金については、通貨によるもののほか、現物給与による場合もあると考えられるが、申請時に当該事業主から十分説明を求め、賃金の範囲、評価額等をあらかじめ明確に把握しておく。
      • c 当該事業部門がおおむね年間を通じて継続的に事業活動を行うものであるか否かの確認に当たっては、事業主から説明を求め、必要に応じて事業活動が継続して行われることがわかる書類を提出させた上で判断することとするが、各都道府県労働局において、次の(a)、(b)及び(c)についての各産業、各都道府県労働局の実情に応じた具体的な判断基準を作成し、この基準に照らして通年継続事業活動の有無を総合的に判断する。
        • (a) 当該事業部門が、その規模を縮小し、又は事業場を閉鎖することとなることが通例の季節においても、労働者を雇用し事業が継続して行われる見込みがあると認められること。
        • (b) 当該事業部門が、その規模を縮小し、又は事業場を閉鎖することとなることが通例の季節においても、必要に応じ直ちに事業を実施し得るように、施設、機器、資材等の維持、保全、確保が図られていること。
        • (c) 当該事業部門が、その規模を縮小し、又は事業場を閉鎖することとなることが通例の季節においても、事業場を閉鎖せず従来の事業活動の一部若しくは全部を継続するか、又は当該期間に限り、当該事業部門において、別種の事業活動を行われる見込みがあると認められること。
        • (d) その他、各都道府県労働局ごとに定める基準(各都道府県労働局管轄区域内の実情に応じて定めるものとする。)に該当するものであること。
      • d 以上の事務を行うに当たっては、事業主団体を単位として認可基準を判断するものであるときは、当該団体にも協力を求める。
    • (ロ) 撤回権の留保
       認可を行う際には、認可の基準に抵触するに至った場合又は不正事故があった場合には、認可を撤回する旨の条件(付款)を付す(20156(認可の撤回)参照)。
    • (ハ) その他
      • a 任意加入の認可を与える際には、離職者に対し職業紹介を行うこと及び紹介を行ったにもかかわらずこれを拒んだときは厳格に給付制限を行うものであることを十分に周知徹底させておく。なお、紹介を行ったにもかかわらずこれを拒んだときには、給付制限を行うべきであることは、一般の受給者の場合と同様である。
      • b 認可が行われた場合には、所定期日までに事業所設置届、資格取得届等の提出を行うよう指導しなければならないが、資格取得届の受理に当たっては、事業の繁閑、過去の在籍労働者数に注意し、架空名義による資格取得届を受理することのないよう留意する。
      • c 適用した事業の事業主に対しては、事業主の義務を十分理解させ、いやしくも不正の行為のあった場合は認可が撤回される旨を説明しておく。
      • d 農林水産業においては、相当数の労働者を雇用している場合を除き、通常は事務処理能力が十分でない事業主が多いことにかんがみ、また、安定所等における事務処理の簡便化をも考え併せて、特に小規模の事業主については、極力事業主団体を単位として加入させるよう配慮する。