雇用保険業務取扱要領(行政手引)

20001-23500 適用関係

21503(3) 離職票の作成及び記載要領

 安定所は離職証明書の記載内容(⑦欄(離職理由)を除く。)が事実相違ないと認めるときは、離職による被保険者資格の喪失の確認がなされていることを確認の上、離職証明書に記載された事実に基づいて離職票を作成し、交付しなければならない。

 この離職票には、離職票-1と賃金支払状況を記載した離職票-2があり、作成・記載は次の要領により行う。

 なお、離職者の住所不明その他やむを得ない理由のため離職者に離職票を交付しなくてもよい場合(21403参照)は、離職票の作成は行わず、離職証明書を保管し、後日その理由がやんだときに作成し交付する。離職証明書の内容の審査は、この作成の際行えば足りる。

  • イ 離職票-1の作成
     離職票-1は、資格喪失届をセンターあて入力することにより作成する。ただし、被保険者資格の喪失の確認が行われた後、当該喪失に係る者から離職証明書を添えて離職票の交付の請求があった場合は、前記方法によらず、離職票-1再作成の処理をすることにより行う(センター要領参照)。
  • ロ 離職票-2の作成
    • (イ) ⑦欄以外の①欄から⑭欄までについては、離職票-2用紙にカーボンで複写された離職証明書の事項が事実と相違ないと認めたときは、これがそのまま離職票-2の記載となる。事業所が離職証明書を訂正し、これに押印してあるときは、離職票-2用紙に複写された訂正をそのまま離職票-2の訂正とし、安定所において訂正印を押すが、この場合は安定所長印(小)を押印することに留意する。
       また、離職票-2の交付に当たって、⑮欄及び⑯欄の確認の有無について、離職証明書(安定所控)の安定所記載欄(上欄)の該当する箇所を○で囲む。
    • (ロ) ⑦欄以外の①欄から⑭欄までの事項が提出のあった離職証明書の記載と異なると認め、事業主に訂正又は再提出を命じないときは、カーボン紙で複写された離職票-2用紙の当該欄を抹消して正しい事項を記載し、訂正印(安定所長印(小))を押印する。この場合には、離職証明書にも同時に訂正事項を複写する。
    • (ハ) 離職証明書の離職区分の欄には、次により離職証明書を受理した事業所管轄安定所において該当すると認められる離職理由に応じた離職区分を○で囲む。(最終的な離職理由の判定、特定受給資格者、特定理由離職者の判断及び給付制限の処分は、住居所管轄安定所で行うものである。)。なお、当該離職区分の判断は、事業所管轄安定所において確認できる範囲において、事業所管轄安定所の判断として行うものであるが、「4の(3)労働契約期間満了による離職」や「4の(2)労働者の個人的な事情による離職」に該当する離職理由の場合において、事業主が離職者から把握している範囲においての具体的事情からは判断がつかない場合は「2C又は2D」「3C又は4D」として○を囲むこととして差し支えない。
       また、離職理由について、離職者の判断と事業主の判断に相違がある場合(⑯欄の異議「有り」に○で囲まれている場合)の喪失原因の取扱いについては、原則として、事業主の届出内容に基づき、判断することとなる。
      • 1A 解雇(1B及び5Eに該当するものを除く。)
      • 1B 天災その他やむを得ない理由により事業の継続が不可能になったことによる解雇
      • 2A 特定雇止めによる離職(雇用期間3年以上雇止め通知あり)
      • 2B 特定雇止めによる離職(雇用期間3年未満等更新明示あり)
      • 2C 特定理由の契約期間満了による離職(雇用期間3年未満等更新明示なし)
      • 2D 契約期間満了による退職(2A、2B又は2Cに該当するものを除く。)
      • 2E 定年、移籍出向
      • 3A 事業主からの働きかけによる正当な理由のある自己都合退職
      • 3B 事業所移転に伴う正当理由のある自己都合退職
      • 3C 正当な理由のある自己都合退職(3A、3B又は3Dに該当するものを除く。)
      • 3D 特定の正当な理由のある自己都合退職(被保険者期間6月以上12月未満)
      • 4D 正当な理由のない自己都合退職
      • 5E 被保険者の責めに帰すべき重大な理由による解雇
      • a 「1A」は、事業所の休廃止、人員整理等による解雇(天災その他やむを得ない理由により事業の継続が不可能になったことによる解雇又は被保険者の責めに帰すべき重大な理由による解雇以外の解雇)の場合である。
      • b 「1B」は、21203のイの(ロ)のa及びeの(c)参照
      • c 「2A」から「2D」は、契約期間満了により離職する場合が該当するが、具体的な離職理由の判定は次による。なお、契約期間満了の判断については、21203のイの(ロ)のc参照。
        • (a) 契約更新をすることを常態として雇用されているとは解されない場合
           雇用契約においてその更新が明示されており、かつ、労働者が契約の更新を希望していたにもかかわらず契約が更新されず、当該契約期間満了により離職する場合については「2B」、雇用契約においてその更新が明示されてはいないが、労働者が契約の更新を希望し申し出ていたにもかかわらず契約が更新されず、当該契約期間満了により離職する場合については「2C」、それ以外の場合は「2D」として取り扱う。
           更新が明示されているとは、更新の確約があることが明らかにされている場合をいうのであって、「更新する場合がある」等更新に何らかの条件が付されている場合には、更新が明示されているとはいえない。なお、更新が明示されている場合には、労働者本人の申し出により契約更新をしない場合を除き、更新を希望していたものと取り扱う。また、更新が明示されていない場合には、労働者本人が契約期間満了日までに契約更新を申し出たかどうかを確認すること(労働者本人の契約更新の申し出の有無について、事業主からの確認では十分に把握できない場合には、「2C又は2D」と記載して差し支えない。)。
           また、労働者が従事する事業や業務及び雇用契約の内容から、契約更新の余地がないことが明らかである場合には、労働者の更新の希望の有無に関わりなく「2D」として取り扱う。
        • (b) 契約更新をすることを常態として雇用されている場合(雇用期間3年以上、契約更新1回以上)
           契約期間の満了により離職した場合については、解雇と判断される場合は「1A」、契約更新時に当該契約更新が最後の契約更新であることを明らかにされているが、労働者が契約の更新を希望していた場合は「2A」(ただし、労働者により最後の契約更新をすることの申し入れがなされていた場合は「2D」)、これら以外の場合は、具体的事情に従って、「3C」又は「4D」として扱う。
           なお、船員が期間満了により離職する場合については、上記にかかわらず、被保険者期間が離職前1年間で6か月以上離職前2年間で12か月未満である場合は「3D」、それ以外の場合は「3C」として取り扱うこと(21503のロの(ハ)のg、h、50305-2のイのbのまた書き参照)。
      • d 「2E」は、定年退職(ただし、社会通念上からみて著しく妥当性を欠く定年制による離職を除く。)、再雇用期限の到来に伴う離職、移籍出向が該当する。
         なお、定年の一定期間前に退職した場合、退職金を上積みしたり、定年扱いするなどの優遇を行う早期退職優遇制度(選択定年制、自由定年制、転身援助制度等その名称の如何を問わない。)についての離職区分の判断は次による。
        • (a) 当該事業所において、労働協約、就業規則により当該退職が定年退職として扱われることが明示されている場合は、定年退職に準ずるものとして、離職区分「2E」に該当するものとして取り扱う。
        • (b) (a)以外の早期退職優遇制度については、原則として離職区分「2E」には該当しないものとして取り扱い、早期退職優遇制度の内容に従って、離職理由(「3C」又は「4D」)を判断する。
        • (c) 職種又は資格別に異なる定年年齢を定めており、それらすべての定年年齢に達する前に、今後希望する職種又は資格(コース)を選択する制度を設けている事業所から、それぞれの定年が到来したことにより離職した場合には、それらの退職はすべてこの離職区分「2E」に該当するものとして取り扱う。
           また、船員が定年により離職する場合には、「2E」でなく、被保険者期間が離職前1年間で6か月以上離職前2年間で12か月未満である場合は「3D」、それ以外の場合は「3C」として取り扱うこと(21503のロの(ハ)のg、h、50305-2のイのbのまた書き参照)。
      • e 「3A」は、50305(1A、1B、2A、2B又は3Bに該当する事由を除く。)参照
      • f 「3B」は、50305のイの(ニ)参照
      • g 「3C」は、52203参照(3A、3B又は3Dに該当する場合を除く。)
         また、船員については、期間満了、定年の場合には、いずれも被保険者期間が離職前1年間で6か月以上離職前2年間で12か月未満である場合を除き、「3C」として取り扱うこと(21503のロの(ハ)のcのなお書き、dのまた書き、50305-2のイのbのまた書き参照)。
      • h 「3D」は、被保険者期間が離職前1年間で6月以上離職前2年間で12月未満であって、52203に該当する場合である(このときの被保険者期間とは、その離職した事業所における被保険者期間のみならず、基準期間(6か月以上の有無をみる場合には1年間、12か月以上の有無をみる場合には2年間)に別の事業所における被保険者期間がある場合にはこれを合算した期間となる。このため、3Dであるかどうかの確認は、通常、住居所管轄安定所で行うこととなるので、その場合には、「3C又は3D」と記載して差し支えない。)。  また、船員については、期間満了、定年の場合には、いずれも被保険者期間が離職前1年間で6か月以上離職前2年間で12か月未満である場合には、それぞれ「3D」として取り扱うこと(21503のロの(ハ)のcのなお書き、dのまた書き、50305-2のイのbのまた書き参照)。
      • i 「5E」は、21203のイの(ロ)のb及び52202参照
      • j 一般労働者派遣事業に雇用される派遣労働者のうち常時雇用される労働者以外の者については、派遣就業に係る雇用契約期間中の離職に係る離職理由の判定は、派遣労働者以外の労働者に関する取扱いと同様とし、雇用契約期間の終了に伴う離職に係る離職理由の判定は、次による(喪失原因については、21203イの(ロ)のg参照)。
        • (a) 労働者が、新たに開始される派遣就業の指示を拒否したことによる場合:3C又は4D
           ただし、従来の労働条件(労働条件の大幅な変動がない場合には、最終の派遣就業時の労働条件とし、それ以外の場合には、過去の平均的労働条件とする。)と著しく相違する労働条件の派遣就業のみを指示され、それを拒否したことによる場合は、52203のニに該当するものとする。
        • (b) 事業主が、被保険者となるような労働条件での派遣就業の指示を行わなかったことによる場合(指示した派遣就業が取り止めになったことによる場合を含む。):2A、2B、2C又は2D
           同一の派遣事業主のもとで被保険者であった期間が3年以上ある労働者については、2Aに該当するものとする。
           同一の派遣事業主のもとで被保険者であった期間が3年未満である労働者については、雇用契約においてその更新が明示(契約更新・延長、新たな派遣先を指示することの明示等。)されており、かつ、労働者が契約の更新を希望(契約更新・延長、新たな派遣先での派遣就業等を希望。)していたにもかかわらず契約が更新されず、当該契約期間満了により離職する場合については「2B」、雇用契約においてその更新が明示されてはいないが、働者が契約更新を申し出ていたにもかかわらず契約が更新されず、当該契約期間満了により離職する場合については「2C」、それ以外の場合は「2D」として取り扱う。
           なお、更新の明示、労働者の更新の希望の有無、契約更新の申し出の有無に係る取扱いは、ロの(ハ) のcの(a) と同様である。
           なお、被保険者の都合による退職であるにもかかわらず、法第33条による給付制限を免れるため、契約期間の満了と称する場合等が考えられるので、その判断に当たっては十分留意する。
           また、離職の具体的事情の記載のみによっては2C又は2D、3C又は4Dのいずれに該当するか判定困難な場合には「2C又は2D」「3C又は4D」と記載して差し支えない。「2C又は2D」「3C又は4D」と記載された離職票を受理した安定所は、当該離職者に対する口頭による質問等によりいずれかを確認しその該当する記号を○で囲む。