雇用保険業務取扱要領(行政手引)

20001-23500 適用関係

20705(5) 被保険者資格の取得の確認要領

  • イ 資格取得届を受理した安定所は、当該届出に係る者について、次のとおり、届出内容に従い、当該者の被保険者資格の取得について確認を行うのであるが、届出内容については、必要に応じて事業主からの聴取を十分に行うことにより確認を行う。また、届出内容を精査する必要がある場合(20704のロ参照)には、確認書類その他の方法により確認を行う。この場合の確認要領は次によるほか、被保険者資格の取得の確認を行う日の2年前の日よりも前の期間における被保険者であった期間の確認については、23512による。
     なお、特例被保険者であることの確認要領については、2095121100による。
    • (イ) 届出に係る者が雇用されるに至った日におけるその者の年齢等に留意し、被保険者とならない者(20303及び2035120400参照)に該当する者でないかどうか調査するとともに、主として事業主との雇用関係の存在、被保険者資格を取得した年月日(2055120600参照)等につき、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿(タイムカード等)、他の社会保険の資格取得関係書類との照合等により調査する。
    • (ロ) 資格取得届の11欄(雇用形態)において「1」(日雇)と記載してあるものについては、被保険者であるかどうか特に慎重に確認する。
    • (ハ) 資格取得届の記載内容(特に11欄(雇用形態)、15欄(契約期間の定め)、16欄(1週間の所定労働時間)等)、事業主からの聴取内容等から、1週間の所定労働時間が20時間以上の者であるか、31日以上の雇用見込みがある者であるか(同一事業主の下で31日以上雇用されないことが明らかである者以外の者であるか)、次により確認を行う。
      • a 31日以上の雇用見込みがあるかどうか(20303ハ)の確認は、資格取得届の15欄及び届出に係る者の就業規則、雇用契約書又は雇入通知書によって行う。期間の定めがなく雇用される場合は、通常、31日以上引き続き雇用されることが見込まれるものと判断されるが、資格取得届の15欄で「2無」としていても、疑義がある場合には事業主から事情を聴取し、31日以上継続して雇用される見込みがあるかどうかを確認する。
         また、31日未満の期間を定めて雇用される者であって雇用契約においてその更新規定が設けられていないものについては、次の点につき事業主から事情、状況等を聴取し、明らかに31日以上雇用される見込みがないかどうかを判断する。
      • b 1週間の所定労働時間が20時間以上であるかどうか(20557)の確認は資格取得届の16欄によって行うが、このとき、届出に係る者の1週間の所定労働時間を明らかにする雇用契約書、雇入通知書、就業規則、出勤簿(タイムカード等)等との照合を行うほか、必要に応じて当該事業所に雇用されている通常の労働者の1週間の所定労働時間を明らかにする就業規則、雇用契約書、雇入通知書、出勤簿(タイムカード等)等の提出を事業主に求める。
        • (a) 当該事業所において同様の雇用契約に基づき雇用されている者について更新等により31日以上雇用された実績がないかどうか
        • (b) 労使双方により31日以上雇用されないことについて合意があるかどうか
           なお、当初の雇入時において31日以上就労することが見込まれない場合であっても、雇入れ後において、31日以上引き続き雇用されることが見込まれることとなった場合には、その時点から被保険者とすることを事業主に対し指導すること。
    • (ニ) 65歳(船員の適用上限年齢に係る経過措置(20401のイのなお書きによる「65歳」の読み替え)に留意)以上の者について資格取得届が提出された場合には、次に留意する。
      • a 資格取得届の6欄(生年月日)及び8欄(資格取得年月日)によって年齢の確認を行う(年齢の数え方については20401のハ参照)。この場合、6欄については、原則として住民票等官公署が発行した書類であって年齢を確認することができるもの(被保険者証が交付されている場合は被保険者証で差し支えない。)を提示させる。
      • b aの確認により、65歳以上で新たに雇用されたことが判明した場合については、特例被保険者(2045120500参照)に該当する場合又は日雇労働被保険者が前2月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された場合若しくは同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用された場合で高年齢継続被保険者に切り替えるべきとき(90251参照)のいずれかでない限り被保険者とならない(20303のイ参照)ため、これらのいずれかに該当する者であるかどうかを判断し、被保険者となるかどうか及び被保険者種類を確認する。
    • (ホ) 一般労働者派遣事業に雇用される派遣労働者のうち常時雇用される労働者以外の者に係る資格取得届が提出された場合には、(イ)から(ニ)によるほか、必要に応じ、派遣元管理台帳(労働者名簿や賃金台帳と合せて調製することができる。)との照合を行う。
    • (ヘ) 船員に係る資格取得届が提出された場合には、(イ)及び(ニ)によるほか、必要に応じ、労働条件通知書、船員手帳(第3表により当該船員の氏名、生年月日等を、第6、7表により雇入契約の内容を確認することができる。また、第6表の官庁受理印欄に地方運輸局等の押印があるものについては、雇入契約の事実が証明できる書類として取り扱って差し支えない。なお、雇入契約は必ずしも雇用契約と一致しない場合があることに留意(20364参照)。)との照合を行う。なお、船員手帳は船員各自が所持しており、船舶所有者がその原本を提示することは困難であるため、確認事項が含まれる箇所を複写したものを提示することで差し支えない。
    • (ト) 当該事業主から最初に資格取得届が提出された場合で事業所設置届が同時に提出されたときは、その事業所設置届について22253によって審査した後、(イ)から(ヘ)によって確認を行う。
       なお、この場合で同時に事業所設置届の提出がなかったときは、事業所設置届の審査に準じた要領によって事業主から事情を聴取した後確認を行い、事業所設置届の提出について指導する。
  • ロ 被保険者資格を取得した年月日について相当期間さかのぼって確認する必要があるとき(被保険者資格の取得の確認を行う日の2年前の日よりも前の期間における被保険者であった期間の確認に当たっては、23512のロに留意する。)は、関係書類との照合等による調査を特に慎重に行うほか、次の事項に留意する。
     なお、22251のイの(ホ)参照。
    • (イ) 架空事業等による不正受給防止の見地から、事業が廃止されてから資格取得届の提出があった場合には、通常は、被保険者資格の取得の事実の確認が困難であるから、当事者から特に明確な証拠の提供があった場合を除き、原則として確認を行わない。
    • (ロ) 現に事業が行われている場合であっても被保険者が離職してから資格取得届の提出があった場合には、実地調査を行って、事業主、同僚等の証言を聴取する等その者の雇用 関係を確実に把握できるときにのみ確認を行い、帳簿書類等により形式的に確認を行ってはならない。
    • (ハ) 適用事業に遡って適用手続がとられ、その雇用する労働者について資格取得届の提出があった場合には、原則として実地調査を行って、適用事業が実在することと併せて雇用関係を確実に把握した上で確認を行う。ただし、以下のいずれかに該当する場合は、実地調査を省略して差し支えない(22253(事業所設置届の受理及び処理)のイ参照)。
      • a 遡っている被保険者期間が6ヶ月未満であり、当該事業の事業主から
        • ①事業許可証等事業登録関係の証明書、②工事契約書等事業活動の状況を示す書類、③源泉徴収簿等税務関係の書類及び④法人登記事項証明書等の書類のうち、事業主が提出可能なもの全てが提出された場合
      • b 納税証明書等の税務行政機関による証明書が提出された場合
      • c 事業主が公共職業安定所からの指導に従って被保険者資格取得手続を行った場合
    • (ニ) 上記(ハ)ただし書に該当する場合であっても、資格取得届が提出された直後に当該資格取得届に係る者について資格喪失届が提出された場合には、実地調査を行い、事業の実在及び雇用関係の存在を確認した上で、被保険者資格の喪失の手続を行う。
    • (ホ) 事業主に対しては、雇用保険関係諸届の提出を今後必ず所定期限内に行うよう十分指導を行う。
  • ハ 遡及確認に係る被保険者の被保険者資格の取得の日の取扱いは、20502(遡及確認)によるので、資格取得届8欄(資格取得年月日)の記載に留意する。
     なお、被保険者資格の確認を行う日の2年前の日よりも前の日を取得日とする場合の取扱いは、23512のイの(ロ)による。
  • ニ 被保険者資格の取得の確認を行った際、当該確認に係る被保険者について、被保険者種類の確認を行い(20902及び20951のロ参照)、13欄に該当する番号を記載しなければならない。
     なお、被保険者資格の取得の確認を行う日の2年前の日よりも前の期間について被保険者であった期間の確認を行った場合には、13欄は「1」とする(23512のイの(ハ)のなお書き参照。)。
  • ホ 確認後は直ちに所要のデータをセンターあて入力する。